第5回:投資初心者のための投資商品の選び方
初心者の方は、何を購入したらよいかわからないと思います。
そこで、金融商品について説明しておきます。
結論的には、初心者の方には、全世界株式や、様々な金融商品をバランスよく含んだ投資信託がおすすめです。
慣れてきたら日本株、外国株へと進んだらよいのではないかと思います。
投資信託を使えば、外国口座を作らなくても、外国投資ができるからです。
一気に、理解しようと思うと大変なので、ゆっくり進めてください。
まずは、どの投資信託が良いのか、探すところから始めればよいでしょう。
株式
投資と言えば、株式投資を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
株式は、単純にいえば、「会社の経営に必要なお金を出資する代わりに、そのお金を使って稼いだ利益を、出資者で山分けする」みたいなイメージです。
会社が成長していけば株式の価値は高まっていきますが、逆に倒産して価値がゼロになる場合もあります。
株価は、企業によって様々です。
会社の価値は、株価×発行済み株式数=時価総額で見てください。
株式投資で重要なことは、キャピタルゲインとインカムゲインという言葉です。
キャピタルゲインとは、株価の値上がりによって得られる売却益です。
インカムゲインとは、利益の分配(配当金)によって得られる収益です。
業績予想と結果によって、株価の上下が激しくなることが特徴です。
良い会社でも、株価が低迷することもあります。
人気の会社は、すでに割高になっており頭打ちになっていることがあります。
逆に、不人気の会社が、急に好材料で人気化する場合もあります。
企業分析ができるプロでも難しい分野です。
そのため、10銘柄以上に分散して投資することをおすすめします。
日本株
日本人にとって、手を出しやすい株式は、日本株でしょう。
証券口座を開設したらすぐ取り引きできますし、本屋やインターネット上にも情報があふれています。
日本株の特徴といえば、株主優待でしょう。
株主になってくれている特典としてもらえるものはメリットのあるものも大きいです。
ベネフィット・ワンの株主優待は、福利厚生制度が個人でも利用できるのでとても助かっています。
しかし、株主優待は、外国人投資家から不公平と指摘を受けているので、将来的にどうなるかわかりません。
株主優待銘柄は、値下がり抵抗力があるともいわれています。
逆に、株主優待廃止のニュースがでると、高確率で株価に悪影響があります。
都市部に住んでいる人は、株主総会に参加できることもメリットでしょう。
ただ、コロナの影響で、お土産を廃止する企業も増えているそうです。
2023年は、日本株が好調なので、強気の見方をする人が多いです。
私は逆に、2024年度からは、物価上昇からの個人消費の落ち込み、企業収益の落ち込みが発生するのではないかと弱気に見ています。
初心者の方には、Buy&Holdで長期保有してほしいと思っています。
20年後、その会社がどれぐらい大きくなっているか?
イメージできる会社の株を購入してください。
残念ながら、日本企業は失われた30年の中で国際競争力を大きく低下させてきました。
(参考:三菱総合研究所:IMD「世界競争力年鑑2022」からみる日本の競争力:https://www.mri.co.jp/knowledge/insight/20220927_2.html)
確かに今年は好調ですが、少子化スピードが早まっていますので、国際競争力はさらに低下するかもしれません。
(参考:国土技術研究センター:人口減少していく日本:https://www.jice.or.jp/knowledge/japan/commentary05)
円安になると、輸出業やインバウンド銘柄に大きな恩恵があるので、観光大国になっていくかもしれないという期待はあります。
しかし、円安になると資源高によって、食料品やガソリン代がさらに値段が上がると、さらに国内景気が冷めていくかもしれません。
将来がどうなるか誰にもわかりませんが、ある程度リスクを予想して、投資を行うことが大切です。
外国株
外国株と言えば、中心になってくるのは米国株でしょう。
私自身、米国株しか手を出していません。
理由は、外国の企業名を聞いてもわからない企業が多いからです。
わからないものには投資しないようにしています。
世界的に大きな企業は、アメリカにも上場していることが多いので、米国株で十分だと感じています。
また、ここ数年で大きく手数料が下がるなど、だいぶ米国株の取り引きがしやすくなりました。
米国株の魅力は、やはり成長力でしょう。
日本が過去の最高値を何十年も越えられないなか、米国株は最高値を数年おきに更新し続けています。
(参考:auカブドットコム証券:日本株と米国株~過去30年の株価の推移は~:https://kabu.com/sp/item/foreign_stock/us_stock/column/5.html)
そのため、資産を成長させていくためには、米国株の保有が欠かせないと感じています。
もちろん、リスクを抑えるために、個別株ではなく、米国株の投資信託をおすすめします。
米国株が成長力があるからといっても、FANG銘柄など一部に偏っている部分は確かにあります。
そのため、日本株同様、銘柄選びが重要になってきます。
また、外国株取引で重要になってくるのは、為替です。
円安になればなるほど、円換算すると資産が大きくなります。
逆に、円高になると、資産が減少してしまいます。
私自身は、長期視点で見たとき、少子化の影響で円安方向に行くとみているのですが、どう思われますか?
2024年から、アメリカは利下げを始めるかもしれません。
そうすると、円高圧力が強くなります。
本当に為替の予想は難しいです。
外国株のデメリットは、為替の動きが絡むので、購入タイミングがつかみにくい点です。
私はあきらめて、売買するときは成り行きで行っています。
※
成行:市場の時価で売買するため、高い確率で約定します(思いもよらない値段になることも)
指値:希望の値段で売買するため、売買の機会を逃すことがあります
外国株のメリットかデメリットかは、人によりますが、郵便物が来ません。
株主総会の案内も来ません。
個人的には、ごみが増えないのでメリットと感じています。
投資信託
投資信託は、株や債券、REITなどの複数の商品を組み合わせて一つの金融商品にしたものです。
複数の商品からなっているので、投資信託商品一つだけで、リスクの分散ができます。
投資初心者には、まず投資信託をおすすめします。
また、NISA口座の積立枠は、リスクが低めの投資信託に限定されていたと思います。
投資信託は、組み合わせ方法によって様々な種類があります。
SBI証券で取り扱っている投資信託は、2,688銘柄あるそうです。(2023年8月20日時点)
ものすごく種類が多いですが、初心者におすすめするものは限られます。
投資信託の注意点
投資信託は、リスクが分散されています。
含まれている株の1社が倒産しても、資産がゼロになることはありません。
ただ、投資信託を購入するうえで、注意していただきたいことがあります。
・買い値を決められない。
投資信託や証券会社によって、購入時の投資信託の価格がわかりません。
「何時までに注文すれば、その日の終値で購入する」とかのルールです。
積立であれば、あまり気にする必要はありません。
・たこ足配当に注意
投資信託の中には、分配金が大きい商品があります。
とても魅力的に見えますが、注意が必要です。
投資信託に含まれる商品が値下がりしていると、元本を取り崩して分配金にしている場合があるからです。
分配金をもらってるからと喜んでいるうちに、投資した商品の価格がどんどん下がり、損失が拡大していたということもありえます。
・分配金は無い方が良い
複利効果を得るためには、配当を勝手に再投資してくれている方が良いです。
分配金が無い商品は、基本そのようになっています。
分配金がある商品の場合、「分配金を受け取る」と「分配金を再投資」の2種類があります。
「分配金を受け取る」にすると、証券口座に現金を入れてくれます。
「分配金を再投資」にすると、同じ商品を分配金分購入してくれます。
NISA口座で上限いっぱいに投資していた場合、分配金での購入は、NISA口座以外になってしまいます。
そのため、複利の効果が得られないばかりか、NISA口座以外になると、利益に税金がかかり、さらに不利になります。
・償還日
投資信託には、終了の期限が決まっているものや、無期限のものがあります。
期限がきたからといって、必ず損をするわけでは無いですが、次の投資商品を考えなければならないなど、戦略の見直しが必要になるかもしれません。
特に注意したいのが、繰り上げ償還です。
予定通りの運用ができないとき、人気が低迷した場合など、運用を早めに辞めてしまう場合があります。
そのため、なるべく、運用実績があり、純総資産額が大きい商品を選ぶことが大切です。
インデックス型
2,000種類以上ある投資信託を分類するのは難しいですが、大きく分けるとインデックス型とアクティブ型があります。
初心者の方におすすめするのは、インデックス型です。
理由は、運用コストの安さと、わかりやすさ、そして、運用実績です。
インデックス型は、日経平均やS&P500など、指数に含まれる銘柄を悩むことなく機械的に購入していくものです。
そのため、運用コストが安いです。
プロによる運用であるアクティブ型の方が成績が良さそうですが、実際にはインデックス型の方が良い場合も多いです。
インデックス型を選ぶとき、どのようなものがあるのか紹介します。
結論として、初心者の方は、国内と先進国の株式型、債権型、REIT型に限定して始めてください。
株式型と債権型とREIT
・株式型
TOPIX連動型(日本株全体)、日経平均連動型(主要日本株255銘柄)、S&P500連動型など
・債権型
日本国債や米国債の値動きに連動するもの。金利に左右されます。
・REIT(不動産投資信託)
日本や米国のREIT指数に連動するもの
株やREITに比べ、債権はリスクが低めとされています。
どの比率をどれぐらいにするかによって、投資信託のリスクが変わります。
国内と外国
株式、債権、REITそれぞれに対して、日本と外国があります。
外国も、国別、地域別、先進国、新興国、全世界などがあります。
もちろん、世界の数が分散されるほど、リスクが分散されます。
1国に集中すると、ロシアや中国のように、地政学リスクの影響を大きく受ける場合があります。
全世界株式であっても、目論見書などを確認すると、半分近くが米国に投資しているものが多かったりします。
どのように分散されているか、購入前に必ず確認してください。
業種別
株式の場合、業種別に分かれている場合があります。
製造業、農業、水産業、情報通信など、業種ごとに指数化されたインデックス型投資信託があります。
業種を絞り込めば絞り込むほど、リスク分散ができなくなります。
初心者にはおすすめしない投資信託です。
その他コモディティやVIX指数など
その他の種類の投資信託はおすすめしません。
唯一、比較的リスクが小さいと感じるのは「金」です。
・商品
金、プラチナ、銀、銅、穀物、原油など、商品の値段に連動するものです。正直、難しいのでリスクが高いです。もし、資源に投資したいと思うのであれば、三菱商事などの商社株に投資している方が、まだマシでしょう。
唯一、金はまだ見込みがあるかなと感じています。ただ、すでに値上がりしてしまっているので、ここからの上昇には不安を感じます。
見込みがあると感じる理由は、「世界中にある金の量が決まっている」からです。
世界中の人口が増えて、貧困が解消し、中流階級が増えてきたら、金の需要が増えるのではないかと感じているからです。
しかし、初心者向けとしては、優先度が低いです。配当などの利息が見込めないからです。
・ブルベア型、VIX指数
強気相場のことをブル(牛)といい、弱気相場をベア(熊)といいます。ブル型の投資信託は、上昇局面では、通常の2倍から3倍のスピードで値上がりします。しかし下落局面では、2倍から3倍のスピードで値下がりします。ものすごくリスクの高い投資信託なのです。
ベア型は、逆方向に動きます。VIX指数連動型もベア型と同じです。株価が下落局面に上昇する商品です。上手く使えば、弱気相場時も勝つことが可能ですが、とても難しいです。私も試したことがありますが、上手くいったためしがありません。
アクティブ型
アクティブ型投資信託は、機械的に売買されるインデックス型とは異なり、主にプロが試行錯誤しながら運用する投資信託です。
良い商品もあるのですが、悪い商品もあるので、見極めが難しいです。
そのため、初心者の方は、インデックス型をおすすめします。
プロによる運用
金融のプロが運用してくれます。
日本では、「ひふみ投信」が有名でしょうか。
信頼できるプロが運用している商品を選ぶことが大切です。
AIによる運用
今はやりのAIが運用してくれる投資信託です。
AIならすごそう、というイメージをされると思いますが、それほどでもなさそうです。
逆に言えば、投資の世界は、AIにも予測が難しいといえます。
だから、「必ずもうかる」という商品は怪しいと思ってください。
AIが自動で売買してくれるのですが、運用コストが高めなので、2023年時点では、まだおすすめできません。
しかし、学習が蓄積されてくると勝てる可能性は高くなってくるかもしれません。
テーマ型
AI、ヘルスケア、バイオ、自動運転、次世代エネルギーなど、今話題のテーマに絞った投資信託です。
今後の成長が期待できる分野に絞ってくれていて、とても魅力的に見えます。
しかし、今後の成長が期待できる分野は、みんなが投資しているので、すでに割高になっている可能性があります。
だから、初心者の方は、テーマを絞り込まず、分散したものを選んでください。
ETF
投資信託のメリットと、株式投資のメリットを組み合わせた、上場投資信託(ETF)という金融商品があります。
1つの商品で、分散投資効果がある点は、投資信託と同じです。
そのため、初心者の方にもおすすめの商品です。
しかし、リスクの高いビットコインのETFが誕生しようとしてたります。
デメリットは理解した上で購入してください。
投資信託と比べてのメリット
投資信託と異なり、即時決済で購入できます。
指値で購入すれば、好きな価格で購入できます。
売却時も同様です。
投資信託と比べてのデメリット
デメリットは、商品数が少ないことです。
また、投資信託に比べて、純資産総額がまだまだ小さく感じます。
積立投資をするには、投資信託の方が自動化しやすいといったことがあります。
そのため、ETFよりも投資信託の方から始めてほしいと思います。
その他、初心者は知らなくて良い商品
その他の商品について、知らなくても良いですが、基礎知識として私が知っている範囲で説明しておきます。
FX
為替取引の一種と思ってください。
1ドルが100円から、110円(円安)になったとします。
1,000万円分購入していたものを1,100万円で売却したら、100万円の利益が発生します。
FXの特徴は、売りから入れるところです。
1ドルが100円から、90円(円高)になったとします。
1,000万円分売却していたものを、900万円で買戻した場合、差額の100万円が利益です。
為替の値動きは、大きく動いても1円程度です。
100万円利益を出すのに、どれぐらいの金額を、何回ぐらい売買する必要があるか考えて見てください。
その回数、為替の値動きを予想し続けることは難しいと思います。
そのため、初心者の方にはおすすめしません。
FXは元手が少なくても、25倍のレバレッジをかけて投資することができます。
それをメリットという方がいますが、大きなリスクでもあります。
例えば、40万円の元手で、1,000万円の取り引きをします。
上の例で、逆方向に10円動いた場合、100万円の損失が発生します。
実際には、ロスカットが発生し、早めに損失が確定されます。
一瞬で元手を失う可能性があります。
FXは、ギャンブルに近いと捉えています。
初心者の方は、FX投資と聞いたら、避けるようにしてください。
暗号資産
ビットコインなど暗号資産もリスクが高いので、初心者にはおすすめしません。
ビットコインの価値が高まると信じられる人は良いと思います。
私は、信じられません。
ある日、多くの国で暗号資産の取引を禁止するとなったら大暴落することになります。
暗号資産を保証してくれる後ろ盾が無いからです。
投資詐欺などで、保証されているなど言われるかもしれません。
それが本当かどうか調べる時間と労力がもったいないです。
素直に投資信託にしてください。
信用取引
信用取引は、株を借りて取引する方法です。
上手に取引できれば良いですが、逆に動くと株を返却時に損失を確定させなければならなくなります。
上手に活用すれば、リスクなしに株主優待と配当の権利が取れるということもあるらしいのですが、リスクなしにという点が嘘っぽいです。
投資に慣れるまでは、手を出さないようにしましょう。
貸株
証券会社によっては、貸株という仕組みを導入しているところがあります。
保有株を、信用取引をしている人に貸し出して、貸出金利を得ることができるというものです。
長期保有であれば、実施してもいいかもしれません。
ただ、確定申告などがめんどくさかったような気がします。
私は実施したことが無いのでわかりません。
実施するときは、デメリット面も良く調べてください。
初心者はまずは投資信託から
投資商品について、簡単に説明しようと思いましたが、長文になってしまいました。
それだけ多くの商品があり、複雑な世界なんだと思ってください。
そのため、多少の投資の勉強は必要だと思います。
投資についてよくわからない場合は、全世界株式や様々な商品を最初から分散している商品を購入してください。
そして、だんだんわかってきたら、日本株、外国株へと進めていったら良いと思います。
注意点としては、以下のようなものがあります。
すぐに現金化できないと考える
長期投資が基本であるため、しばらくは現金化しないつもりで投資してください。
そのため、必ず余裕資金で行ってください。
お金が必要となったとき、投資した商品がマイナスになっていた場合は、損失を確定させなければならなくなります。
商品ごとのリスク度合いを理解する
投資信託でも、リスク度合いの高い商品が含まれている割合が高いほど、値動きが激しくなります。
逆に、債権などリスクが比較的低い商品が多く含まれているほど、期待リターンが低くなります。
投資は、必ずリスクがあります。
しかし、そのリスクの大きさは、コントロールできます。
ご自身の許容度にあわせて行ってください。
誰も失敗はしたくないと思いますが、失敗しないと学べないことも多いです。
いきなり大きな失敗をすると立ち直れなくなりますので、少しずつ始めてください。
投資信託なら、100円から購入できます。
次回は、「投資初心者におすすめの証券会社の選び方」を書いてみたいと思います。