第7回:初心者でもわかる投資商品の種類と選び方
投資初心者の方に、このような投資商品があるのだと知っていただくために、具体的な商品を何個か紹介します。
※おすすめの投資商品というわけではありません。
投資商品の探し方は、また別記事で紹介したいと思います。
株式関連の商品が中心となります。
債権については、ほとんど書いていません。
私自身があまり詳しくないということと、長期的な利回りを他の商品と比較したとき、機会損失の方が大きいと感じているからです。
※機会損失:本当だったら得られたはずの利益が得られなかった状態
紹介できるものは、ほんの一部です。
他のサイトの情報も加えて、総合的に判断してください。
よく言われることだと思いますが、証券会社に紹介されて購入したとしても、投資は自己責任と言われます。
損失を抱えても、誰も助けてくれません。
だから、投資を始めるにあたって、投資のリスクを理解しておくことが大切です。
投資信託
投資初心者の方は、まず投資信託から始めてほしいと思います。
NISAの積立枠は、インデックスタイプの投資信託だけしか購入できなかったと思います。
まず、投資信託を選ぶスキルを習得してください。
投資信託のメリットデメリットは、別記事に書いています。
インデックス型
初心者が投資信託を選ぶときは、インデックス型のものを選んでください。
購入手数料が無料で、信託報酬が低いものが多いからです。
運用コストの高さは、利回りの減少につながります。
インデックス型にもいろいろ種類がありますので、一例を挙げさせてもらいます。
国を分散
初めて投資信託を購入するとき、リスクをできるだけ抑えたいなら、世界中に分散した商品を選んでください。
地域ごとの分散もありますが、リスクが高くなるので注意してください。
全世界
全世界に分散投資をしたものです。
株式系の投資商品の中では、もっともリスクを抑えた商品ではないかと思います。
グローバル化の流れを受けて、世界中の経済はつながっているため、一カ国の影響を受けて上がったり下がったりします。
しかし、世界の人口がまだまだ増加傾向にあるので、成長が期待できるのではないかと思います。
全世界分散といっても、日本を含む場合、日本を含まない場合があります。
時価総額の大きい国の割合が大きくなるため、全世界といっても、アメリカの割合が大きくなるものがあります。
もちろん、均等に分散投資しているものもあります。
◆全世界に分散した投資信託の一例
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)
特定地域分散
アジアや欧州など、特定地域に特化した投資信託があります。
投資信託なので、分散はしていますが、地域が特定されているため、分散効果が小さいです。
もしその地域で、紛争など地政学リスクが発生したとき、大きな影響を受けます。
そのため初心者の方には、あまりおすすめしません。
購入するとしたら、先進国に限定した投資信託でしょう。
・アジア
三菱UFJ国際-eMAXIS 日経アジア300インベスタブル・インデックス
・欧州
三井住友TAM-SMT 欧州株配当貴族インデックス・オープン
・先進国
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国株式インデックス
・新興国
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 新興国株式インデックス
日本国内
日経平均やTOPIXのチャートに沿った値動きをする投資信託です。
日経平均とは、業種ごとに厳選された255社の株価の値動きを示したものです。
TOPIXとは、旧東証1部全体の株価の値動きを示したものです。
TOPIXの方がリスク分散効果が高いと考えてください。
ただし、日本の景気動向に大きく左右されます。
世界の株が30年間上がり続けていたのに対して、日本の株はずっと低迷していました。
日本株だけに投資することは、大きな機会損失を生む可能性があります。
世界に分散することをおすすめします。
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内株式(日経平均)
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)
外国
アベノミクス以降、日本株も上昇傾向にあるといっても、企業の国際的競争力などは低下傾向です。
そのため、投資をするうえで、世界に目を向けることは大切です。
日本に投資するにしても、世界情勢の影響を大きく受けるからです。
外国投資といっても、米国株だけで良いと考えています。
様々な国の、過去30年のチャートを見たとき、順調に上がり続けているのは、米国株だけに感じます。
2番目に考えるなら、インド株かもしれません。
人口がまだまだ増えていくからです。
しかし、新興国であるため、リスクは大きいです。
そのため、投資初心者の方には、外国なら米国株のみで良いと思います。
ところで、外国に投資する場合に、意識しなければならないのが、為替リスクです。
投資信託には、商品名に「為替ヘッジあり」「為替ヘッジなし」という言葉を見ることがあります。
為替ヘッジありは、為替変動の影響を相殺してくれるような操作をしてくれます。
為替ヘッジなしは、為替変動の影響を大きく受けます。
投資後、円高に進むと思ったら「為替ヘッジあり」にした方が良いです。
円安に進むと思ったら「為替ヘッジなし」にしてください。
1ドル100円の時に、100ドル(10,000円)を米国株に投資したとします。
1ドル90円(円高)になった場合、米国株の価値を日本円換算すると9,000円になっています。
1ドル110円(円安)になった場合、米国株の価値を日本円換算すると11,000円になっています。
私は、日本の人口が減少傾向にあるので、将来的には円安になると見ています。
しかし、為替予想は本当に難しいです。
考えても仕方がない面も大きいとおもいますので、気にしないことも正解かと思います。
積立投資で時間分散することが、一番だと思います。
米国
米国株の代表的な指標と言えば、ダウ工業指数、S&P500、NASDAQ100の3つでしょう。
ダウの投資信託はあまり見当たりませんでした。
S&P500は、アメリカの中の厳選500社の株式をパッケージ化したものです。
時価総額の影響が大きく、GAFAMの株式の割合が大きくなっています。
入れ替えも活発に行われるので、常に良い状態が保たれている投資信託になるのではと考えています。
NASDAQは、テクノロジー系の企業を厳選してパッケージ化したものです。
成長期待が大きい企業が多く集まっているので、世界中からお金が集まりやすいです。
ただし、最新技術は、失敗もつきものです。
メタバースやバイオテクノロジー、EVなど、期待が大きい分、期待外れになったとき、大きな影響を受けます。
値動きは激しいですが、現在のところ、結果的には上昇率は一番です。
今後をどう見ますか?
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
インド
インドは、人口が中国を超え、まだまだ増加していくことが見込まれています。
民主主義国家であり、中国より意思決定に時間がかかるということを指摘されていましたが、中国がバブル崩壊気味になってきたこともあり、やはり民主主義国家の方が安心できると再認識できた気がします。
貧富の差が激しかったり、紛争などの地政学リスクは確かにあります。
だからこそ、成長余力が大きいともいえます。
1世帯当たりの月収が1万円増えただけでも、大きな経済効果を生むのではないかと考えています。
新興国に投資した場合は、長期的にドンっと構えてられるかが重要です。
値動きに不安になる場合は、やめておいた方がよいです。
中国
中国は、世界の工場として大きく成長してきましたが、最近魅力が低下しています。
少子高齢化が進み、人口減少に転じたからです。
それにも関わらず、若者の失業率が高止まりしています。
また、不動産バブルの崩壊、突然のルールの変更など、ビジネスをする側としては、リスクが大きくなっています。
ただし、将来はどうなるかわかりません。
また復活するとは思いますが、日本のように30年以上低迷する可能性もあります。
REIT
REITは、「不動産投資信託」のことです。
個人で、不動産を購入して、売買や賃貸をして、収入を得る「不動産投資」を勧められることがあるかもしれません。
魅力的に映るかもしれませんが、不動産は高額であるため、なかなか難しいです。
それを、みんなでお金を出資して、プロが不動産の運用をして、収益をみんなで分配するという株式のような仕組みがREITです。
企業の株と同様に、株式市場に上場しています。
REITといっても、マンション、ホテル、商業施設、オフィスなどさまざまな種類があります。
それら全体をパッケージ化したものが、REITのインデックスです。
不動産の値動きが読めるという方ならいいと思いますが、投資初心者には難しいのではないでしょうか?
例えば、国内REITの値段は上がってくると思いますか?
人口減少、在宅勤務の増加、ネット通販の増加によって、オフィスや商業施設の需要は減ってくるかもしれません。
円安効果によって、日本の土地を買い占めようと外国勢がやってくるかもしれません。
私には、難しく感じます。
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 国内リートインデックス
三菱UFJ国際-eMAXIS Slim 先進国リートインデックス
商品分散(バランス型)
株式だけに集中するのは怖いかもしれません。
そのような場合は、債権や不動産などにも分散投資した投資信託があります。
リスクを抑えているので、iDecoの商品などでもよく見られるタイプだと思います。
資産をどのような割合で配分するかで、リスクの大きさが変わります。
一般的には、若い方は積極型で攻めて、年齢が高くなるほど堅実型に寄っていく方が良いといわれています。
若い方、40年ぐらい長期投資するであれば、全世界株式の方がパフォーマンスが良いのではないかと思います。
しかし、「やっぱり投資は怖い」と考えられている方には、最初におすすめの商品たちになります。
アクティブ型
アクティブ型は、プロが厳選した商品をパッケージ化した投資信託です。
プロに任せるので、投資コストが高くなりがちです。
「インデックス型のパフォーマンスー投資コスト」がプラスでなければ、インデックス型を選んだ方が良いとなります。
運用のうまいアクティブ投信を探すことは難しいと思います。
2つだけ紹介しておきます。
私が保有している投資信託です。
最近は、この投資信託を持つためだけに楽天証券を使っています。
パフォーマンスはあまり良いとはいえませんが、いつも丁寧に説明してくれるファンドマネージャーが信頼できると考えています。
10万円以上投資していることと参加条件はありますが、毎月運用報告をして、投資家の疑問に丁寧に答えてくれます。
米国市場をどのように捉えたらよいか、とても勉強になります。
ひふみ投信は、保有していませんが、とても気になる投資信託です。
保有していないのは、日本の将来性に私自身に不信感を持っているからです。
そのような中で日本の成長企業を見つけ出し、投資信託としてパッケージ化しています。
パフォーマンスは、2018年以降低迷しているように見えますが、どうなのでしょう。
YouTubeで運用報告も行っているようなので、アクティブ型の投資信託の中でも安心して保有できる方だとは感じています。
国内ETF
ETFとは、株式と同じように売買できるようにした投資信託だと捉えてください。
株式と同じ、手数料で、指値などをして購入できます。
投資信託と同じく、リスクを分散しているので、初心者の方におすすめです。
しかし、デメリットとしては、種類が投資信託より少ないことです。
メリットは、売買が即日決済できることです。
投資信託は、数日かかりますし、約定の値段が運任せなところがあります。
参考に2銘柄紹介します。
日経平均連動のETFと、S&P500連動のETFです。
海外ETF
海外版のETFです。
外国口座を開設しないと取り引きできない点がデメリットです。
国内ETFよりも種類が豊富であることが、メリットです。
参考に2銘柄紹介しておきます。
日本株
日本の個別株です。
投資信託に比べるとリスクが大きくなります。
5銘柄以上は保有して、リスク分散することが大切です。
また、企業を見極める力をもとめられます。
成長しそうだからと、10年前に楽天グループを購入していたら、今頃どうなっていたでしょう?
ビッグモーターとかかわった損害保険会社のように、日本企業はコーポレート・ガバナンスが弱いと指摘されています。
参考に、代表的な2銘柄の紹介をしておきます。
米国株
米国の個別株です。
リスク分散されていないこと、日本株以上に情報が手に入りにくい点ではリスクが大きいと考えられます。
英語が読めれば情報は多いです。
コカ・コーラやマクドナルドなど、良く知っている企業であれば問題ないかもしれませんが、米国ETFなどでリスク分散する方が良いと思います。
参考に、2銘柄紹介しておきます。
初心者の方はNISA口座で投資信託を
投資を始めようとした方にとって、最初の壁は「どの商品がいいのかわからない」だと思います。
私の20年以上の投資経験から思っていることは、「S&P500連動の投資信託を購入して、ずっと見ないようにしておけばよかったな」です。
だから、ものすごい数の商品がありますが、投資初心者の方が見るものは、ほんの一部に限られます。
リスクが怖いというのであれば、全世界株式やバランス型の投資信託が良いでしょう。
絶対マイナスになりたくないというのであれば、貯金・貯蓄しかないでしょう。
しかし、インフレ時代、貯金・貯蓄では実質マイナスになっていくので注意が必要です。
車を購入するために積立貯金をしていたとして、車の価格が上昇していけば、いつまでたっても追いつけなくなるからです。
皆さんの必要な目標額がどんどん上昇していく可能性があります。
そのリスクのほうが、私は怖いと考えています。
投資は自己責任になります。
皆さんが取れるリスクを考慮しながら、投資戦略を考えてみてください。
個人的にオススメする方法としては、NISA口座を開設し、全世界株式もしくは米国株の投資信託を積立設定にして放置しておくことです。
余裕があれば、NISA口座の成長枠も活用して、手動で積立を行ってください。
1,800万円まで投資が完了したら、そのまま20年以上放置したら、世界の経済規模の成長に沿って、資産が増えて行くのではないかと思います。
1,800万円を貯金・貯蓄にまわした場合、20年間でいくらになっているか計算してみてください。
それこそリスクと思いませんか?
次回は、「投資初心者が知っておくべき基礎用語」について書きます。