第8回:投資初心者が知っておくべき基礎用語
このブログの目的は、次の2つを目的にしています。
・投資初心者が、投資詐欺に騙されないための知識をつけること
・投資初心者に、リスクを抑えながら投資を始めてもらうこと
良い商品を選んで購入もしくは積立設定ができたら、あとはほったらかしにして良いと思います。
私は、外部からの様々な声に惑わされて売買した結果、大きなロスを生んでいるきました。
過去30年の全世界株式の投資信託をみているかぎり、ほったらかしにしているのが結局は良かったと思いました。
未来のことはわかりませんので、絶対か?と聞かれると困りますが。
テレビやユーチューブで、暴落とか不況とか、もうダメだなど、外部の声に不安になってしまうことは必ずあると思います。
その声をどのように対処するかは、投資を始められた方に来る大きな課題だと思います。
私的には、「世界的に見れば、上下のリスクはあっても、10年後、20年後と、長期的に経済は成長していく」と信じるようにしています。
それでも、コロナやウクライナ戦争、GAFAMはもうダメという声に振り回されましたが・・・
みなさんが、投資の世界に入る場合は、必ず長期視点で見てほしいとおもいます。
短期視点になると、ギャンブルになり、投資詐欺商品の誘惑に負けてしまいかねません。
今回のコラムでは、投資初心者の方に知っておいてほしい言葉を思いつくままに書いてみたいと思います。
FIRE
最近は、FIREという言葉に憧れる人が増えているようです。
FIREとは、簡単にいえば、早期リタイアして、不労所得で生活するというものです。
仕事に疲れた人は、それをより早く達成したいとなります。
より早く、FIREに必要な資産を気づこうと思えば思うほど、ギャンブルになり、逆効果になるので注意が必要です。
騙されて資産を失う人が増えているそうなので気をつけてください。
その資産がもしゼロになったら、取り戻すのにどれだけ時間が必要になるか?常に頭に入れておいてください。
FIREのための目標額は人それぞれです。
1年間の支出が600万円の人と200万円の人では、必要なお金が変わります。
資産は4%で運用すると考えることが一般的なようです。
おそらく5%で運用して、1%は税金でもっていかれるという感じでしょう。
つまり、資産額×4%=一年間の支出であれば、利息だけで生活できるようになります。
FIREのための目標額=一年間の支出÷4%=一年間の支出×25
となります。
600万円の人であれば、1億5,000万円必要です。
200万円の人であれば、5,000万円が必要です。
ご自身の一年間に必要な支出から、目標額を計算してください。
そして、年利4%で、目標額を達成するのに何年かかるか計算してみてください。
間違っても年利20%といった、高利回りの投資詐欺商品には手を出さないようにしてください。
資産効果
一時期、トマ・ピケティの21世紀の資本論という本が話題になりました。
わかっていることですが、資本主義の世界では、金持ちはより金持ちになるようになっています。
資産100万円の人と資産1億円の人がいたとします。
資産を5%で運用していた場合。
資産100万円の人は、年5万円得られます。
資産1億円の人は、年500万円得られます。
金持ちは最初から労働しなくても大きな収入が得られるのです。
いかに早く投資の元本を増やすことが大切かがわかると思います。
もちろん、若い間にしかできないことも多いと思います。
かといって、投資は後回しにすればするほど不利になります。
単利と複利
利息から得られる金額について、常に複利を意識することが大切です。
例えば、年利5%の投資商品について、100万円購入したとします。
1年後に5万円の利益が得られました。
それをどうするかが問題です。
5万円を何かに消費してしまえば、次の年も5万円の利益です。
5万円を再投資すれば、これにも利息がつくので、次の年は、5万2,500円の利益です。
利息が利息を生む考え方が、複利です。
つまり、投資は再投資しつづけることによって、資産増加ペースを早めることができるということです。
投資は、「長期継続」が重要となります。
キャピタルゲインとインカムゲイン
それほど重要な言葉とは思いませんが、耳にすることが多いと思いますのでメモしておきます。
キャピタルゲインは、安く購入した商品を高値で売れたときに得られる売買益です。
インカムゲインは、配当や利息など、それを持ってるだけで得られる利益です。
インカムゲインが多いほうが良いように思うかもしれませんが、そうとはかぎりません。
企業は、配当を出さずに、成長投資に回すケースも多いです。
その結果、企業の成長期待が高まり、株価があがると、キャピタルゲインの増加が期待できます。
S&P500指数連動型の投資信託などを購入しておけば、それほど気にすることは無いです。
リスクとリターン
リスクとリターンは大切です。
期待リターンが大きなものほど、リスクは大きくなります。
リスクというと、「危険」というイメージを持つかもしれません。
正しくは、「振れ幅」のことです。
貯金と宝くじをイメージすると良いでしょう。
貯金は、ゼロになることはありませんが、大きく増えることもありません。
リスクの小さい商品です。
逆に宝くじは、大きく増える可能性ありますが、ゼロになる可能性もあります。
リスクの大きい商品です。
FIREなど、一般的に長期投資で年利4〜5%といわれています。
年利10〜20%の商品を勧められるかもしれませんが、いかにリスクの高い商品かわかるでしょう。
ポートフォリオ
投資の世界でいうポートフォリオは、資産配分の詳細をあらわしたものです。
円グラフであらわしてくれるものもあります。
ある商品の割合が大きくなりすぎていたら、リスクが大きくなっているのかもしれません。
投資信託は、中身がわかりにくい場合がありますので、どのような投資信託かチェックすることが大切です。
積立投資とドルコスト平均法
若い方には、投資する原資も小さいと思いますので、積立投資をおすすめします。
年齢が高くなるほど、積み立てられる期間が短くなってしまうので、できるだけ早く始められることをおすすめします。
投資でリスク分散する方法の基本は、幅の分散と時間の分散です。
幅の分散は、商品数の分散です。
100個の商品に分散していれば、1社倒産しても、1%の被害に抑えられます。
時間の分散は、期間をあけながら、何回にも分けて購入していくことです。
理由は、投資商品の値動きが激しいからです。
どのタイミングで買うのが正解なのかわかりません。
だから積立投資を一定の金額で設定しておくことがおすすめです。
投資商品の価格が下がったときは、多く購入できるので、平均購入価格を下げていくことができます。
ドルコスト平均法という言葉をよく聞くかもしれません。
投資は、安く買って高く売るが基本です。
積立期間、投資商品の価格が下がっても、安く買えることになるので、気持ち的に楽だと思います。
塩漬けと損切りとナンピン買い
まだまだ上昇すると思って購入した株の価格が、下降に転じる場合があります。
もう底値だろうと思って購入した株の価格が、さらに下がり続ける場合があります。
損失を抱えたまま放置することを「塩漬け」といいます。
諦めて売却して、損失を確定させてしまうことを「損切り」といいます。
平均購入額を下げるために、追加購入することを「ナンピン買い」といいます。
長期視点にたって、数年後には必ず上昇していると確信が持てるのであれば、ドルコスト平均法が働くので、「ナンピン買い」も有効です。
しかし、短期視点に立った場合や数年後の成長に確信が持てない場合、「ナンピン買い」をすればするほど、傷口を広げることになります。
「塩漬け」がよいか、「損切り」かの判断は、その商品への信頼度に左右されます。
損失を抱えた状態では、売却を躊躇する心理が働きやすくなります。
その隣に確実に上昇していくことに確信が持てる商品があったとします。
冷静に考えれば、上昇していく商品に乗り換えたほうが良いとわかるのですが、損失を確定させたくない気持ちが強く働くケースも多いです。
勝てる投資家は、「損切り」できるかどうかに左右されるという話も聞きます。
この判断はとても神経を使いますので、投資初心者の方には、信頼できる投資商品に積立設定で長期投資をすることをおすすめします。
20年も積み立てれば、これらの用語は関係なくなるでしょう。
投資と消費と投機
投資と消費と投機の違いは別記事でも書いたので簡単に。
投資を増やして、消費と投機を減らしてほしいので、もう一度書いておきます。
投資は、将来に渡って、自分自身に価値として返ってくるものです。
金融資産への投資だけでなく、資格取得やジムに通うなど自己投資も同じです。
消費は、文字通り、消えていくものです。
健康のために、高級食材などを購入される場合もあるかもしれません。
それは、投資と呼べるかもしれませんし、過剰な部分は消費になるかもしれません。
投資か消費かは、人それぞれの価値観で変わります。
健康はお金では買えないともいわれますが、健康のためにお金を使い果たしたら生活ができなくなり、結局は不健康になります。
ご自身にとって、何が大切か優先順位をつけて、投資と消費のバランスを作ってください。
投機はギャンブルです。
極力避けてください。
円高と円安
円高、円安という言葉は、ニュースなどでよく聞くと思います。
どっちが良いのか?
今後、長期的にどっちに動いていきそうなのか?
イメージできておくことは大切だと思います。
短期的に為替がどう動くかは、プロでも難しいので気にしなくて良いです。
円高、円安は、基本的に米国ドルに対してどうかをあらわしたものです。
円高になると:
日本のものが、外国の方にとって高くなります。
そのため、日本への観光客が減るかもしれませんし、日本の商品の輸出が減るかもしれません。
逆に、海外のものが安くなります。
外国へ旅行がしやすくなりますし、輸入商品が安くなります。
米国の金融商品を保有していると、円換算すると価値が安くなります。
円安になると:
日本のものが、外国の方にとって安くなります。
そのため、日本への観光客の増加や、日本の商品の輸出が増えることが期待できます。
逆に、海外のものが高くなります。
海外への旅行代金や、輸入商品が高くなります。
米国の金融商品を保有していると、円換算すると価値が高くなります。
一般口座と特定口座とNISA口座
証券会社に口座を開設するとき、特定口座とNISA口座の開設は必ず行ってください。 新規口座開設するとき、それらの言葉が出てくると思います。
一般口座は、何もしなくても開設されます。
確定申告が必須の口座になります。
特定口座は、金融商品に関わる利益に対する税金の支払い方を簡素化してくれる仕組みがある口座です。
初心者の方は、「源泉徴収あり」を選んでください。
利益が出ているかぎり、確定申告が不要になります。
NISA口座は、税金が免除される口座で、1つの証券口座にしか作ることはできません。
2024年から、利便性がとても高くなります。
NISA口座の開設は忘れないようにしてください。
運用コストと税金
投資をする上で、運用コストを意識することは大切です。
せっかく利回りの良い商品に投資していたとしても、コストが大きい場合、実質の利回りは小さくなっている可能性があるからです。
代表的な運用コストについて
売買手数料
商品を売買するときにかかる手数料です。
商品の売買回数が大きければ大きいほど、コストがかかります。
SBI証券と楽天証券が、国内株取引の手数料をゼロにしました。
投資信託の場合、インデックス型であれば、手数料無料であるものが多いです。
「ノーロード」の投資信託は、手数料無料という意味です。
手数料があるものは、できるだけ売買回数を減らすことが大切です。
信託報酬
信託報酬は、投資信託にかかる運用コストです。
基本的に、インデックス型は安く、アクティブ型は高くなります。
つまり、アクティブ型は、インデックス型に勝つパフォーマンスを出す必要があるということです。
コストを抑えるならインデックス型がおすすめです。
税金
投資では、利益から20%の税金がとられます。
100万円の利益が出たら、20万円とられていくということです。
配当利益も同様です。
これも大きなコストです。
このコストを抑える方法は、NISA口座の活用です。
2024年から始まるNISA口座は、上限が1,800万円までですが、税金がゼロに抑えられます。
100万円の利益が出ても、税金をとられません。
そのためNISA口座の活用は必須です。
ただし、保有資産がプラスになっているときしかメリットはないかもしれません。
特定口座の場合、損益を相殺することができます。
例えば、ある株を売って100万円の利益が出ていた場合、20万円の税金がひかれます。
同じ年に、100万円の損失が出ている投資信託を売却した場合、株の利益と相殺されます。
結果、税金はゼロになります。
このような損益の相殺は、確定申告さえ行っておけば、3年間有効です。
年度中に相殺できないので不便ですが。
岸田首相が、就任当初、金融資産税をかけるといって大批判をあびていました。
株式投資は、しばしば、富裕層だけが行っているものと捉える人がいます。
そのため、株式投資にかかる税金20%は低くて、金持ち優遇だという指摘が入り、議論されることが多いです。
日本は、給料が上がらないから、資産運用でカバーしようとしている人も多いと思います。
税金が上がったら、FIREの前提も変わるので、必要な目標額も高くなってしまいます。
政治家は取りやすいところからお金を取ろうとします。
給料や資産運用など、国民の努力からより多くお金を取ろうとしますので、ぜひ選挙に行ってください。
どうしても、割合の多い高齢者の声(社会福祉のための税金を増やせ)の意見が通りやすくて困りますが。
投資をシンプルに考える
投資の世界に入ると、初めて聞く言葉が多くて難しく感じるかもしれません。
実際、本質を知ろうとすると、どこまでも奥が深いので難しいです。
しかし、「全世界株式の投資信託の積立設定をして、見ないようにしてください」だけだったら、簡単ではないですか?
最低限としては、これぐらいでも十分だと思います。
興味がでてきたらいろいろ調べて見たら良いと思います。
まずは、投資を始めることが大切です。
そのための障害を取り除いて行く情報が提供できたらと考えています。
次回は、「資産形成のための収支管理術」について書きます。